かつて北海道を訪れたイタリア人建築家アルド・ロッシは「北海道の景色は北欧に似ている」と言ったそうだけれど、そのさらに昔、北海道を「スコットランドに似た地域」として注目した人物がいた。
日本ウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝である。
スコットランドで学んだ本場のウイスキーづくりの技術をもとに理想のウイスキーを作るため北海道余市市に蒸留所を建設した。
札幌から電車で1時間ほど(小樽から約30分)の余市駅からすぐ見える場所にその蒸留所はある。
入口で名前を書けば誰でも無料で自由に見学することができる。
30分おきにスタートする見学ツアーに参加することもできるし、自分で自由に見て回ることもできる。時間があったので僕らは自由に見学するコースを選んだ。
この蒸留所の特徴はいまだに石炭を燃料に蒸留しているというところで、燃え盛る炉に石炭をくべるところを間近にみることができる。
すべての蒸溜釜には、しめ縄と紙垂が巻かれていて職人さんの手作業で行われる蒸留行程は一種の神事のようなものなのかもしれない。
蒸留されたウイスキーが樽で寝かされています。きっとこれはごく一部で敷地内の建物のなかは樽でいっぱいなのだろう(たぶん)。
ルートの最後に試飲会場があり、余市5年、鶴17年、アップルワイン、リンゴジュースを試飲することができる。やはり、17年ものの方が香りに深みがあって美味しい。
もともと大日本果汁株式会社→日果→ニッカウイスキーとなっているだけあってリンゴジュースもおいしい。
試飲会場の手前のバーでは加水処理をする前の原酒(アルコール度数64度)を味わうこともできる(有料)。
お土産としてウイスキーで仕込んだ甘納豆やチョコレートも売っている。
敷地内には竹鶴邸も移築されている。
次回のNHKの連続テレビ小説は竹鶴政孝夫人のリタが主人公となるらしく、放送が始まるとこちらも観光客が増えるのだろうななどとと思う。
遠くに雪をかぶった山をのぞむとてものどかで広々とした土地で、日本で最高のウイスキーを作りたいと思った竹鶴政孝の気持が少しわかったような気がした。
「もしも僕らの言葉がウイスキーであったなら」
というのはアイラ地方を巡った村上春樹氏のエッセイだけれど、もしかしらた竹鶴政孝の言葉は本当にウイスキーだったのかもしれない。
ニッカウイスキー 北海道工場
北海道余市郡余市町黒川町7-6
9:00〜17:00
※入場無料
北海道旅行
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