北海道に行くとどうもお寿司や海鮮丼など海の幸を欲張って食べてしまうのだけれど、さすがに何日か続くとお肉が食べたくなるものだ。
もちろん、牛も豚もおいしいのだけれどせっかく北海道に来たら羊をたべようということで、前に教えてもらった、すすきのの大一（だいち）というお店に行った。

僕は「ジンギスカン」と聞いても
♪ジンジンジンギスカン　ひーらいた　ほーらいた　ひーらいた　今入った♪

という誰の何語の曲なのかわからないあの陽気な音楽ぐらいしか思い浮かばないし、なんとなくあの獣っぽい独特の風味を濃い味付けのたれでごまかしながら食べるイメージだったのだけれど、このお店に行ってからジンギスカンに対するイメージは全く変わった。

すすきのの大交差点から裏通りに入り、東へ歩くと一つの雑居ビルがある。
はっきり言って何か目的がなければ確実に通り過ぎてしまうようなビルの中にこのお店はある。
１Fを奥に進むと、お店の名前が入った提灯が目に入る。




カウンターのみの小さなお店で、１〜２人に１台ずつ炭火の七輪と鍋が置かれる。
肉はラムチョップとよばれる一種類のみで、注文してから一人前ずつ切ってくれる。一切味付けしていない肉を炭火で焼いてあっさり味の醤油だれに付けて食べる。
なんと驚くほどにくさみがなく、やわらかくあっさりしていて美味しい。
それだけ新鮮でいい肉なのだろうと思うけれど、そこらの牛や豚とは全然ちがうおいしさだ。
この鮮度は北海道でなければ味わえない。



鍋の真ん中には脂身が置かれるのだけれど、後半になると「脂食べてみますか？」と聞かれる。思わず「食べられるんですか？」と聞き返してしまったが、せっかくなのでチャレンジしてみることに。一度鍋から降ろして細かく切ってくれるのだけれど、これがなんと、また驚くほどあっさりしていて、サクサクしていて美味しい！
さらに最後のシメに三國めし（みくにめし）というメニューがある。これは、ご飯にネギと鰹節をかけ、そこにジンギスカンのたれをかけて混ぜて、ジンギスカン鍋で作った
目玉焼きを載せてくれる。食べすすむとここにスープを入れてお茶漬けにしてくれる。
もはや罪悪感すら感じるメニューである。

ちょっと千葉真一に似た大将がご夫婦で営んでいて、とても心地よい接客をしてくれる。
食べ方も親切に教えてくれるし、適度に気をつかってくれる。
僕は日本で一番おいしいジンギスカンのお店に行くことができたと思う。






北海道旅行